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北村薫  作風レビュー

(2009.11.13 更新)

★★★
  人によって激しく好き嫌いが分かれるのでオススメしにくい;

著者名

北村薫

代表的な著作リスト


「円紫さんと私シリーズ」
空飛ぶ馬   短編集   既読
夜の蝉   短編集   既読
秋の花       既読
六の宮の姫君   文学ミステリィ 番外編っぽい   既読 
朝霧   短編集   既読


「覆面作家シリーズ」
覆面作家は二人いる   短編集   既読
覆面作家の愛の歌   短編集   既読
覆面作家の夢の家   短編集   既読


「時と人 三部作」 ※ SFっぽい設定
スキップ     既読
ターン       
リセット        


「ベッキーさんシリーズ」
街の灯   短編集   既読 
玻璃の天   短編集   既読 
鷲と雪       既読 


冬のオペラ   短編集   既読 

水に眠る   短編集   既読 

月の砂漠をさばさばと   絵本みたい   既読 

盤上の敵       

語り女たち   短編集   既読 

ニッポン硬貨の謎       既読 

紙魚家崩壊        

ひとがた流し        

1950年のバックトス   短編集    

野球の国のアリス (講談社ミステリーランド)  ジュブナイル    

主な受賞歴

第44回日本推理作家協会賞連作短編部門『夜の蝉』
第6回本格ミステリ大賞『ニッポン硬貨の謎』
第141回直木賞『鷲と雪』

デビュー作

『空飛ぶ馬』(1989年)

作風なぞかけ

「北村薫」 とかけて 「人知れず咲くスズラン」 と解く。
そのこころは?


「目立たないけれども心和む可愛らしさです。しかし実は毒があるのですよ」

スズランってどんなイメージ?
こう、うつむいて咲く小さくて可憐な白い花が鈴なりになっているという感じでしょうか?
そうです。
スズランは、ぱっと目立つ華やさはありませんが、ひっそりとした清らかな美しさを誇る花です。

ああ、そこに一輪咲いていますよ。気がつきませんでした?
まあ、地味といえば地味な花ですからね。
でも、そこに咲いていることにふと気づくと、はっとさせられるほど綺麗で香り高い花ではありませんか。

スズランは別名を「君影草」というそうです。
一説には、葉陰にそっとよりそって咲く花を、殿方(君)の影によりそう淑やかな女性に喩えたのだとか。
他の言語でもスズランには、なかなか風情のある名前が付けられています。
「谷間の姫百合」、「五月の花」、「五月の小さい鐘」、「聖母の涙」などなど。
やはり、女性的ひそやかに咲く様子を称えた名が多いようですね。少し感傷的すぎるきらいもありますが、そのセンスは印象的です。

しかし、この優しげ柔和な面影の花に、があることはご存じでしたか?
それも結構な猛毒です。
間違ってうっかりと口にしてしまった人を、傷つけときに死に至らしめる…。
もちろん、ふつうはそんなことはありません。
雑草に紛れていたり、お家の庭に植えられていたりする、日常的に目にする花です。
毒がある花だということを、心に留めておけば大丈夫でしょう。

北村薫の本を読むときの5W1H

When いつ

繊細な乙女の心の揺らぎを、純粋に愛おしむことができるという自信があるときにどうぞ。

気が強くて色っぽい美女に手酷くふられたばっかりのときだとか、
ちゃらちゃらした色男に弄ばれて悔しくてたまらないときだとか、
女子同士の聞いてはいけないおしゃべりを盗み聞きしてしまったときだとか、
満員電車の中で気色の悪いジジイに撫で回されたときだとか、
彼女の手料理の味を残念に思っているときだとか、
おしゃれと彼氏とグルメと月9ドラマに夢中で忙しいときだとか、
賢くて上品と思いこんでいた憧れの彼女が実は鈍くて下品で幻滅したときだとかに、北村薫作品を手に取ると、ぶん投げたくなるかもしれませんよ。

「こんな女が三次元に存在してたまるかー!」
「男の理想の女を押しつけンじゃねー!」
「男って生き物はなー、こんな聖人君子じゃいられねーんだよー!悪かったな-!」
「今どき、純粋無垢な文学少女なんかいるかバカヤロー!」
………このへん、よく聞く意見ですな。

管理人としては、北村薫作品に登場する女性キャラにリアリティや生臭さがないとは思えませんがね。
少女と女の狭間にある青年期の女性の心理がよくかけていると思うほどで。
将来への不安、姉妹や友人への劣等感、恋への憧れや焦り、性的なものに対する頭での理解と感情での拒否。
単に、頭でっかちで奥手で現実逃避ぎみで、それでも現実逃避しきれない悩み多い女の子と、その子の目線で見た男というキャラを書いてるだけじゃん。まあ、実際にこんな子がクラスや職場にいたら、一部の女子からは「暗い」「内気」「カマトト」「ブリッ子」との評判を、一部の男子からは「落としにくそう」「可愛いけど地味」「おとなしすぎる」「色気ないけど、アレって処女かな?」という評判をとるであろうことは容易に想像が付きます。

この手のキャラに嫌悪感や劣等感を覚える方は、読んでアンチ北村薫になるよりは、はじめから読まずに無関心でいた方がよろしいかと…;

Where どこで

静かに文章を追える場所にしましょう。

周りが騒がしく、俗っぽい楽しみに満ちていると、
「…なんか馬鹿馬鹿しくなってきた。こんなの読むのやめて、俺も遊ぼーっと。おーい仲間に入れて-」
テレビで賑やかなバラエティや恋愛ドラマなんかをやっていると、
「…明日読もう。ねえ、もうちょっとボリュームあげてよ」
ということになるかと。

図書館とか、寝る前のベッドの中とかでどうぞ

Who だれが

文学好きな方にオススメします。

特に、古典的名作といわれるクイーンやクリスティなどの本格ミステリィを読み慣れた方。
日本の明治、大正期の文学を読み慣れた方。

本格ミステリィや近代国文学にまったく縁のない方には、理解できないネタが満載です。

いや、文章自体は読みやすくて、ミステリィの種類も日常の謎解きが主ですから、誰でも読めると言えば読めるんですが。プラスアルファで、北村薫ならではの文学趣味を楽しみたいならば、少し昔の名作にも手をのばしてみませんか?

What 何を

北村薫らしいオススメ作品は
  『六の宮の姫君』(「円紫さんと私シリーズ」第4巻)

芥川龍之介の短編「六の宮の姫君」を考察した論文風味の作品です。
文学の成り立ちを分析するという点では、研究論文もひとつのミステリィ作品だよなあ、と思わされる。
読みにくいなんてことは決してない!
平易で透明感のある、いつもの北村薫の文章です。

ほんとかよ、これ? 証拠がないだろ? 実際確かめる術はないじゃん?
という感想を持たれる方もいるでしょうが…。

いいんですよ!
学術論文じゃなくて、小説なんですから!
アレとコレを足して、コレを引いて、答はソレ、みたいな四角四面な論文よりも、読者の主観をもとに独断と偏見まみれで書いた書評の方が面白いのは当然。
学術論文じゃないんだから、芥川の作者論を思いっきり、読者の主観で書きまくっても問題なし!
芥川も菊池も、北村薫作品の中で、ひとりのキャラとして楽しんでください!

なかなか説得力のある上質な文学ミステリィですよ。

Why なぜ

北村薫の作品を読む理由。
それは…。

キャラの、時にはっとさせられる視点や考えを透かし見るような、透明で情感あふれる文体が心地よいから。

キャラクタや、世界観は、淡白であまり目立たない。
ストーリーや、ミステリィのトリックにも、あまり特徴がない。
むしろ、文学の論文を小説化したようなプロットには魅力を感じることが難しいという人も多いことでしょう。

しかし、物事を見る厳しい切り口と、それを感じさせないほど柔らかな文体に、思わず惹きつけられる力があります。

思慮深く、内省的なキャラたち。彼女ら彼らの、本当によくある出来事の受け取り方に、心の柔らかさや他者への思いやり、自分を厳しく律する姿勢といったものを感じます。
自分が思ってもいなかったような他人の見識、良識というものに、目を覚まさせられるような思いがする。
それを求めて、北村薫作品を読んでいます。

もうひとつは、キャラクタの純粋さと対極をなすような、何とも言えない「毒」が面白いからですかね。
ほのぼの「日常の謎」系ミステリィの大御所でありながら、女性的で柔らかな作風でありまがら、………作者…あんた実は「性悪説」支持者だろ?と思わされることもしばしば…。
い、癒されないっ;;
そこが面白いです。

How どのように

そもそも、本格指向のミステリィ作家ですから、ミステリィとして読むのは間違っていません。
間違ってはいませんが、「…無理があるな…」と呟くこともなきにしもあらず。

上記の「Why なぜ」の繰り返しになりますが、トリックやプロットはミステリィとして突出したものではない。
文体や、意外な切り口、キャラの人生観というものを楽しむ方が正解かもしれません。


ちょっとした読書ガイドとして活用してみるのもよいでしょう。
ちらほらと作中に登場する、小説や詩歌を探して読んでみると楽しいv


だいたい似たような味わいなので、どれを読んでも良いと思いますが、「人が死ぬ話は嫌いなの。北村薫作品は人が死なないって聞いたから」という人は、お気をつけて。
ときどき死にます。けっこう惨いのも混じってます。
惨いというか…やるせない?

日常系ミステリィは日常系ミステリィでも、冷やかな悪意とやりきれない哀しみが行間を流れて行くのが北村薫の日常系ミステリィ。
でも、そっちの方が感動したり印象的だったりします。


六の宮の姫君 (創元推理文庫)六の宮の姫君 (創元推理文庫)
(1999/06)
北村 薫

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