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姑獲鳥の夏  作品レビュー

(2009.10.27 更新)

『姑獲鳥の夏』 (以下、『姑獲鳥』 あるいは 『夏』 と略します。)

★★★★★

ストーリー ★★★★  面白い! でも、真っ当なミステリィではないようだ;
キャラクタ  ★★★★★  すっごく印象的&個性的。二次創作が流行るのもわかる…。
世界観   ★★★★★  雰囲気あるなあ!
文章     ★★★★  読みにくいような…。でも、美文だと私は思う。ルビの振り方なども秀逸。
感動     ★★★★★
  うっかり人生観変わりそうになった。中高生が読むとやばい。嵌る。

書誌情報

京極夏彦 『姑獲鳥の夏』、講談社文庫版、講談社、1998、
ISBN4-06-263887-8

目次

文庫版  姑獲鳥の夏 ………5

参考文献 ……………………622

解説   笠井潔 ……………624 


って、これだけかいッ!
あんまりにもつまらん。
目次が
 目録  って記されているところがちょっと面白いかな。


装幀 

カバーデザイン FISCO
妖怪制作    荒井 良

デザイン     菊池信義


この講談社文庫版、め、目立つ!
好みか否かなんて関係なく、問答無用で目に飛び込んできます。

書店では平積みしておいた方が売れる表紙!だと思います…が。
この『姑獲鳥』はまだカワイイ方ですが、文庫版の同シリーズは、普通に棚に並べておいても、いやと言うほど目立ちます。
この分厚い背表紙は何事っ…?? これ…文庫本? と発売当時は誰もが思ったのではないでしょうか。

講談社文庫の背表紙は著者ごとに色分けされていて、上部だけは白い。その白い部分に著者名が、色つきの下部に書名が書かれていて判りやすいです。ちなみに京極夏彦は薄いグレー。
いい感じです。


そして、カバー写真の妖怪模型! どうも紙人形のようですが、張り子なのかな? すごいですよ、コレ。見開きにも写真がありますけど、怖いくらい雰囲気あります。


ストーリー

「二十箇月もの間子供を身籠もっていることができると思うかい?」

この一言から、物語は始まります。

昭和27年、夏、東京。
雑司ヶ谷のとある産院に、二十箇月たっても生まれる気配がない胎児を身籠もった女がいるという。そして、その夫は密室から忽然と消失した…。
そんな奇怪な噂をたずさえて、三文文士の関口巽が、古書肆「京極堂」を訪ねます。
しかし、腰の重い京極堂主人、中禅寺秋彦は、関口を煙に巻くようなことを言うばかり。関わりを持ちたがりません。
そんな折り、偶然にも噂の渦中の人、久遠寺涼子に出会ってしまった関口は、なぜかひどく動揺を示します。
果たして、それはなぜなのか…。関口自身にも判らない、その理由は?
関口は、戸惑いながらも、探偵・榎木津礼二郎や刑事・木場修太郎、雑誌編集者・中禅寺敦子らとともに、雑司ヶ谷の久遠寺医院を取り巻く忌まわしい呪いのような事件に挑もうとするのですが…。
混迷を極める事件。
不思議な現象。

しかし。

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」

古本屋にして神主、さらに拝み屋を副業とする中禅寺秋彦が憑物を落とす!
「百鬼夜行」シリーズ第一弾!

ネタバレ感想

『姑獲鳥』の感想を述べるべきところで何ですが…少し「百鬼夜行シリーズ」全体についても語らせていただきます。
私、「百鬼夜行シリーズ」全部読んでから、『姑獲鳥』を再読したときに思いました。

なるほど。このストーリー展開、このキャラクタ、この世界観、この文章、すべて『姑獲鳥』のためにだけ用意されたものだったんだろう、きっと。と。

シリーズの先々のストーリー、脇役キャラクタ、詳細な設定まで考えて書き始めたとは思えません。
いえ、シリーズ進行中に矛盾があるだの無理矢理な設定があるだのということではなく。(無くもないですが;)
展開、キャラ、世界観、文章、すべてを生かしきることができる作品は『姑獲鳥』だけとしか言いようがないように出来ているということなのです。(上手く言えない…;;)
実は、『姑獲鳥』以上に面白い!と思った作品は「百鬼夜行シリーズ」の中に幾つもあります。
それでも、「一番、綺麗にまとまっている」と思うのは『姑獲鳥』です。

いきなり話は変わりますが(ほんとは変わってないんですが)、
巷では、キャラクタ小説に分類されるほど、「百鬼夜行シリーズ」は、キャラに特色と魅力があると言われています。
それも当然。
このキャラ達なくして“『姑獲鳥』のストーリー”は、成り立たないのです!
逆に言えば、『姑獲鳥』以外の「百鬼夜行シリーズ」作品は、キャラの流用で作ったキャラクター小説以外の何ものでもないでしょう。 注:別にキャラクタ小説が格下だと言っているわけではありませんよ!!
キャラクタ小説か否か?というのは、「まずキャラクタありきで作ったのか? それとも、まずストーリーありきで作ったのか?」によるのだろうと思いますが、『姑獲鳥』の場合は、キャラクタ小説か否かを論じることに意味がないように思います。

というのも、『姑獲鳥』は「キャラクタ=ストーリー」ですから。キャラクタ設定を含めて、これほどまでに謎解きへの伏線オンリーで構成された小説を初めて読んだ…と管理人は思いました。

以下、ネタバレ警報発令中!

たとえば、物語の冒頭で、京極堂こと中禅寺から延々と語られる冗長で衒学的にさえ思える(そして、量子力学に悩まされる学生諸氏なら怒りさえ覚えそうな)蘊蓄がありますね。
これは、自分の言葉に酔っている人間の無駄な演説などではなく、「今から始まる小説の世界はこんなルールで進んでいくからねー」という読者への親切な説明なのです。
その、うんざりするような込み入った設定をわかりやすく説明するためのキャラとして、京極堂が存在します。

ちなみに、彼が屋号の「京極堂」で呼ばれることに、何か意味はあるのでしょうか?
戦後に初めて会ったらしい木場修がそう呼ぶのはともかく、長年「中禅寺」と呼んできたはずの関口や榎木津まで「京極堂」と呼ぶのは、私には不自然に感じられました。
これは、やはり、「京極堂」≒著者「京極夏彦」であり、作品内の設定を読者に説明するための著者の代弁者であるということを示しているのでしょうか。

もしかすると、それ以上に、昭和27年の「京極堂」が、昭和27年の「不安定な世界」(=関口)を支える存在であることを暗に示すためであるのかもしれません。
雨の夜、恐慌をきたした関口は、忌まわしい記憶とともに学生時代を思い出します。

「私の戻る場所は、あの寮しかない。中禅寺の、榎木津の、藤野牧朗の待つ、学生寮しかないのだ。」
(『姑獲鳥』418頁より)

関口にとって、学生時代の「中禅寺」は「藤野牧朗」同様のタブーだったのかもしれません。
雨の中、「中禅寺」たちのいた学生時代をさまよっていた関口は、「京極堂」の顔を見て昭和27年に舞い戻ります。
そして、関口の憑き物を落とすのも「京極堂」です。
「京極堂」は、作品内の世界を解説するキャラクタであると同時に、世界を平定して安んじるキャラクタでもあるのでしょう。

次に、危うい不安定な精神の持ち主である関口巽の一人称という形式。
これは、いわゆる「信頼できない語り手」を使った一種の叙述トリックを成り立たせるためです。
しかも、関口は、「脳を一切信用しない方がいい」「心因性健忘症」「狂っているかもしれないぞ」と解説役の京極堂に再三指摘されています。
このキャラはミスリード役!こいつがトリックのひとつ!と初っ端から大声で宣言されているようなものです。

そして、探偵・榎木津礼二郎の「人の記憶が見える」「人に理解できるような言動をとらない」という非常識な設定が何よりのポイントです。
何かを「見た」榎木津礼二郎は、関口に聞きます。
「君には見えないのか?」
説明役の京極堂からさんざん「榎木津は人の記憶を見る」と吹き込まれているミスリード役の関口は答えます。
「(人の記憶なんか)見えないよ!」
再読したときには、
おい、こら関口!
とつっこみたいところ。

でも、いくら関口が不安定な人間でも、ここに榎木津というややこしい存在が絡まなければ、読者は関口のミスリードに引っかからなかったかもしれないのです。
榎木津ではなく、関口同様に多少不安定な内藤あたりが、ちらっと「見て」から、「み、見ただろ? 見たよね? きゃー」と逃げていって、「見えないって言うのか? あんたオカシイんじゃないのか?! …いや、(まあいいや。この変な男を利用してやれ)俺は知らないよ。何も知らないよ。俺も何も見なかったよ」と言う展開にしたとしても成り立たないこともないストーリーなのですが…、関口がいくらすっとぼけていても、読者は、内藤あんた何をみた?って思いますからねえ。
その点、相手が榎木津だと、読者も「んー? 榎さん、何かまた見えたんだなー。誰にも見えんし、理解できんけど」とスルーしちゃうじゃありませんか!?
榎木津より、あきらかに信用してはいけない関口の方が、まだ常識的で信用できるように見える;;
ここがミソですな。
榎木津と京極堂が口をそろえて「一番変なのは関口」と言うそうですが、まさにそのとおり。

あんたが一番おかしいんだよ!関口!(怒)

つまり、榎木津は、ミスリード役の関口の視点で語られる叙述トリックを際だたせるためだけに用意されたキャラクタだということがわかりますね!
蛙の顔の赤ん坊だの、関口と例の彼女が昔会ったことがあるだの、別に榎木津の超能力を通してしか読者に提供できないような情報じゃないですからね。
他の設定もあったはずなのに、なぜ榎木津なのか? なぜ榎木津は、一から十まで(十どころか兆まで、いや∞まで)非常識なキャラクタなのか? 
それは、読者にキャラ萌えさせるためではなく(笑)、まさに、『姑獲鳥』のココ! この場面! このトリックのためだけに存在するキャラだからなのですよ!

…だから、榎さんは『姑獲鳥』のネタばらしの後は比較的まともな言動をしています。
シリーズが続くに連れて完全に壊れていくのは、やはりキャラクタ小説になったからキャラ萌えを追求しちゃえーってことなのでしょうか…。ま、確かにキャラ萌えを追求しやすいキャラではあります。

で、刑事、木場修。
狂言回し役、ですな。
真っ当な情報提供役であり、一人では動けない関口や頑として動かない京極堂に代わって捜査をする役。そして、とことん信用ならない関口に代わって、読者の知りたいことを説明役の京極につっこんで喋らせる役でもある。

京極堂の妹、敦っちゃんも似たような役回りです。関口を事件にひきずりこんだ張本人であり、木場の旦那が登場していない『姑獲鳥』前半で関口を連れ回す真っ当な情報提供者

彼と彼女が真っ当であればあるほど、榎木津の非常識さが引き立ちます
木場修が「あいつはバカだ、アホだ。」と幼馴染みを罵倒するからなおさら。
京極堂も、聡明な敦っちゃんがいるからこそ、敦っちゃん以上に聡明な兄貴であることをアピールすることができて引き立ちますね-。

しかも、敦っちゃんは三十代の野郎どものなかの可憐な乙女ですから!!
京極堂の謎解き披露中の、
お兄ちゃん、ちょっとそれはないんじゃない? そんな哀しいこと言わないでよ。
みたいな切ない訴えが読者の胸に沁みます。よくぞ言ってくれた敦っちゃん! 
このように、ときどき読者の代弁者感情移入役まで努めてくれる可愛い子です。敦ちゃんは本当に健全で普通でよい子だなぁ。読者といっしょに厳しい兄貴に切って捨てられて可哀相ですが;

以上のように、ストーリーとキャラクタがまさに分かちがたくセットになっている作品、それが『姑獲鳥』です。
いいえ、それだけじゃありません。
“あの医療技術”が世に出る前の、昭和二十七年という時代も、
関口にとっても“彼女”にとっても“姑獲鳥”にとっても重要な夏という季節も、
徹頭徹尾、関口の目を通して構築された怪しく不安定な世界観も、
事件のトリックも、
酩酊感を覚えるような文体や蘊蓄のはさみ方まで、

すべて!

余計なモノだらけのようにみえて、実は余計なモノが何もない!
すべて、伏線!と言っても過言ではないような「綺麗な」小説!
それが 『姑獲鳥の夏』 です。


帯にしたいフレーズ

実際の講談社文庫版の帯には、
「古本屋にして憑物落とし! 京極堂、遂に登場
なんてキャッチコピーがありました。
ちなみに、光沢のある暗めの紫がかった赤い帯。
右上方から光りが差して、左は暗くグラデーションになってる感じで。
暗めのところに、手彫りの四角い判子のようなデザインで「おまたせ」と。
はい! 待ってましたとも!

で、本題。
私が帯にしたいフレーズですが、王道はやはりこれ。

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」
(『姑獲鳥の夏』講談社文庫版 23頁より)

痺れます(笑)


ちょっと長いですが、これもいい。

「ふん。山から鬼が下りて来たぜ」
闇の黒地に星型が浮んだ。晴明桔梗だ。あの提灯だ。雨に煙る眩暈坂に、異様な風体の男が浮き上がる。番傘。墨で染めたような真っ黒い着流し。薄手の黒い羽織にはやはり晴明桔梗が染め抜いてある。手には手甲。黒足袋に黒下駄。鼻緒だけが赤い。

(『姑獲鳥の夏』講談社文庫版 426頁より)

いや、好きなフレーズっていうか、好きなシーンになっちゃってる…。
でも、このシーン、好きだ!

キャラクタ 愛してるキャラだけ紹介します。

◆ 中禅寺秋彦  「京極堂」主人

博覧強記。舌先三寸。口八丁。妖怪好き。本好き。甘味好き。下戸。仏頂面。
元高校教師。本業「古書肆」、家業「神主」、副業「憑き物落としの拝み屋」 
横町の説教好きな物知りご隠居さん。(本人は違うと言うが…)
謎解き担当。説明役。説得係。
三十代前半。
芥川龍之介に似ているらしい。

登場作品

姑獲鳥の夏   初っ端から「京極堂」!
魍魎の匣    ほどほどに前半で登場。
狂骨の夢    お出かけ中…。後半になってようやく登場。
鉄鼠の檻    冒頭で登場!と思ったら、次はかなり後まで出てこない。
絡新婦の理    前半で登場。そのあともほどほどに。
塗仏の宴・宴の支度   連作短編の形式だから、出るところには出る…
塗仏の宴・宴の始末   以外に動き回ってるね、今回。
百器徒然袋・雨   いいところで登場!てか、あんたそんな人だったのか;
今昔続百鬼・雲   最後の最後でちらっと出てくるだけ;;
陰摩羅鬼の瑕    …もう少しあんたが喋るか動くかしてたらよかったんでは?
百器徒然袋・風   やっぱり、実は悪戯好きだろう、あんた。       
邪魅の雫    前半でちょっと。あとは最後に出てくるだけ。

似合うは?

ルコウソウ(留紅草、縷紅草)
花言葉は、
「常に愛らしい」
「情熱」
「世話好き」
「私は忙しい」
「おせっかいな人」

愛らしい? 情熱? 世話好き? お節介?
多方面から異論がありそうですが、敢えてこれを推します。
彼に似合う花はこれだ!!

だって、意外にぼけてるときもあるのに誰も突っ込んでくれなかったり(つっこみ役に度胸がないのか…?)、悪友といっしょになって悪戯をしかけたり、結構かわいい人だと思いますよ。
いくら口では「ただの商売だ」と言ってても、情熱がなけりゃ憑物落としなんてやってられないだろうし。
面倒見がいいのは事実だし。
若い人によく説教してるんだから、お節介でもあるんじゃないですかね?
それに、本を読みながら「僕は忙しいんだよ」(本当か?)って、よく言ってます。
うん、ぴったり。

ルコウソウという花ですが、「縷紅草」と書く場合の「縷」は「細い糸」とか言う意味だそうです。
葉っぱが細いから。
円い葉もあるそうですが、彼には間違いなく細い華奢な葉っぱの方が似合います。
痩せぎすな人です。

ちなみにの花ですよ。
秋彦っていうくらいですから、やっぱり秋の花を。

綺麗な五角の星形の花です。
色は紅。桃色や白もあるそうですが、鮮紅色が似合うんじゃないでしょうか。
赤い五芒星がぽつんと光を灯しているような花、ルコウソウを中禅寺秋彦さんに捧げます。

イメージカラーは?


真っ黒
漆黒
鴉の濡羽色
これしかないでしょう。
黒衣の男」といえば、この人です。

名(迷?)台詞

「仕事は引き受けた。ただ僕は高いぞ」


「不思議なことなど何もない」というのも捨てがたい台詞ですが、これも印象的。
碌なことにならないとよく分かっているからこそ、渋りに渋った京極堂が、重い腰を上げた瞬間。
関口に高い玉串料なんて払えるわけがないのは分かりきっています。ただ関口を案じて、関口の憑き物を落とすために手を貸すのだけれども、敢えて「仕事」「高い」と断るのが、彼の憑物落としのスタンス。
「引き受けた」の一言で終わらないところに、彼の信念、ぶっきらぼうな優しさ、プライド、天の邪鬼さなどを感じます。


その他のキャラクタについてはまた後ほど…


豆知識 ※ 微妙にネタバレ。でも、いくら情報があっても真相にたどりつけるとは思えない…

メフィスト賞
面白けりゃ何でもアリだぜ(ミステリィが多いけど)!年中無休でいつでも受付中!原稿何枚でも読むよ!みたいな新人賞。
京極夏彦の持ち込み原稿(『姑獲鳥』)のせいで作られた賞と言われているらしい。
ファンの間では「第0回メフィスト賞受賞者は京極夏彦」と囁かれている。
昭和27年 夏
前年の昭和26年に、サンフランシスコ講和条約やら平和条約やら日米安全保障条約やらを結んで、それらが発行して日本が戦後の主権を取り戻した直後。
戦後の混乱と貧困のどん底からは抜け出したけど、まだ荒廃の爪痕は生々しいなあ、これから日本は何処へ行くのかなあ? 近代と現代のちょうどはざま、あわいの時代だね。というイメージが管理人にはあります。
晴明桔梗
五芒星。一筆書きの星。
陰陽道では魔除けの呪符として使われる。
安部晴明が紋に用いた。今でも晴明神社の神紋。
陰陽師
平安時代のお役所の技術官&研究職。のはずだけど、時代が下るに連れてどんどん怪しく分けわかんなくなっていった人たち。
今は、陰陽師と言ったら、東洋出身の魔法使いみたいなイメージ?
でも、多分、『姑獲鳥』では《うっさんくさくて怪しくておおっぴらにできない憑き物落とし屋》のイメージなんじゃないかと…。
ダチュラ
ナス科の有毒植物。トランペットにも似た白く長い漏斗状の花を咲かせる。
有名な別名は、曼荼羅華(マンダラゲ)。
『姑獲鳥』作中でも触れられていますが、華岡青洲が麻酔薬として使用。有吉佐和子「華岡青洲の妻」にももちろん登場。読むと面白い。
旧制高校
大学へ行くための制度的予備校みたいな…。
だいたい17歳から20歳くらいの男ばっかり。
学生寮の伝統には女子は確実にどん引き。今の男子でも引く。
ここを卒業すれば(選びさえしなけりゃ、よほど問題がない限り)大学へ行ける。
ただし、旧制中学(今の中高一貫男子進学校)から旧制高校へ入るのは死ぬほど難しいけどっ!
つまり、旧制高校へ行ってる時点で超・超・超エリート!
ときどき勘違いしている人もいるが、「旧制高校=今の高校」ではないし、「旧制高校=今の大学」でもない。(まあ、大学の教養課程と言えなくもないけど)
また、「帝国大学=東京大学」ではない。(京都にも東北にも九州にも帝大はあった)
ついでに言うと、「最高学府=東京大学」でもない(文脈にもよるけど)。関口が卒業したという「理系の最高学府」(『鉄鼠』)ってのは、単に「どこぞの大学の理系の学部」って意味でしょう。
関口、中禅寺、榎木津、藤牧は旧制高校の先輩後輩だったり同級生だったりするわけです。
多分、「一高」という設定でしょう。
恋文
旧制高校の校風を考えたら、「女に惚れて恋文を交わすなど言語道断!」って感じのはずです。
久米正雄「艶書」では、わざわざ恋人の女性が男性名で恋文を出しています(ま、これは大正時代だけど)。
関口と中禅寺に恋愛相談した藤牧はある意味正しい人選をしている…というか、それだけ連中が変人だったということが、この一件からうかがえますな。
隠花植物
…って何よ?と思ったアナタは真っ当です。
今は使われてない生物学用語。かつて下等植物とみなされたコケ植物、シダ植物、藻類、菌類とかの花を咲かせない植物のことらしい。まあ、字面から、なんとなくジメジメした暗い印象は受ける…。(多分、それで十分)
アプレゲール
戦後の不良青少年、非行青少年をさす流行語みたいなもん。
この頃の少年犯罪の多さったら、今と比べものにならないくらいですよ。
ヒロポン
覚醒剤。と当時も呼ばれていましたが、今とは少々イメージが違いまして…。
「目がぱっちり覚めて、ファイ●ーッいっぱぁーつっ!って感じでイイ!」みたいな…強壮剤かよ!?
昭和26年にようやく取り締まりが始まりました。『姑獲鳥』の前年じゃん。
その前から、この薬はやばい…という認識は広まっていたみたいですが。
そもそも軍が兵士に配っていたモノのようです。
カストリ
これは語源が有名。ご存じでしょうが、三合で飲み潰れる粗悪な密造酒(酒粕から取った→カストリ)に三号で廃刊する粗悪なエログロナンセンス雑誌を喩えたもの。
薔薇十字団
秘密結社。以上。
もう噂に尾ひれどころか、耳がはえてヒゲがはえて、魚か獣かもわかんないような化け物がもう一匹できちゃいましたー。って感じです。(ある意味、榎さんにふさわしい…)
Q 結局、薔薇十字団って何よ? 
A 秘密結社です。としか言いようがない。
薔薇=イングランド王家、薔薇十字=プロテスタント、薔薇十字団=ハプスブルク家(カトリック)への中世のレジズタンス組織っつー説もあるらしいですがね。
ホムンクルス
錬金術師によって作り出される人造人間のこと。
フラスコの中でしか生きられない小人なんだって。
屍鑞
死体が鹸化して腐敗することなく生前の姿をとどめたもの。横溝正史「八つ墓村」で有名だね。
世界一美しい屍体!なんていわれる少女ロザリアのミイラ(?)もこれ。



参考図書

『姑獲鳥の夏』  書誌情報は上記と同じなので省略

参考サイト

Wikipedia、2009.10.27   豆知識に活用させてもらいましたー。


文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
(1998/09/14)
京極 夏彦

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