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松井今朝子『吉原手引草』  読了

★★★

松井今朝子(敬称略)の直木賞受賞作。

存在は知っていたけれど、話題になった本ほど読む気が失せるという困った癖のせいで今まで読まずにいました。

さて、この度、たまたま手に入れた本書。
読了の後…
やっぱり読まずにいてもよかった…とまでは言いませんが、読んでよかったとも思いませんでした。 (失礼!)

うーん?
面白くないことはないけど…。
評価されるのは分かるんですけど…。

うん、どのへんが評価されたのかは何となく想像がつくんです。

吉原の「手引書」を小説として仕立てた手腕。
嘘と夢幻の世界として拵えた“吉原”の一貫した世界観。
事件の真相を探る「探偵」の描写を極力排して、読者が「探偵」に成り代わることが可能なキャラにしたこと。
登場人物たちの数々の証言だけで成り立つ構成。
失踪した花魁に何が起こったのか、どうやって消えたのかという謎。
「探偵」役のキャラクタは、いったい誰で、何のために証言を集めているのかという謎。
ミステリィとして破綻のない出来映え。

はい。いい出来です。
よくがんばって書き上げてくれました~。パチパチ

………………。

…以上?

だって、他に特筆すべきところがないんですよ;

登場人物の「語り」だけで進行する映画を思い浮かべてください。
「フォレスト・ガンプ」とか「スラムドッグ$ミリオネア」とか。
まず、役者が「僕は~」と語り始めますね?
で、回想シーンに入る。
語られていることを、その場で体験しているような臨場感をもって聞き手が思い描くことが出来る様子を表しています。
上手くいけば、これを小説で体験することができるんです。
あきらかに「語り」としては不自然なのに、読者には違和感を感じさせず、話し手の証言に聞き入らせる(この場合は読ませるか?)
もはや、単なる一人称の小説と変わらない文体になっていても、読者にはそうと気づかせない。
人々の証言を、実際にその場で聞いているように錯覚させたまま。
別の時間軸、別の場面に引きずり込む。
素晴らしい!

…と、思う瞬間が『吉原手引草』にはない。
はて?
誰かの証言が始まって、いつまでたっても場面は変わらず、「私は~」「それで~となって、私は~」と延々と続く。臨場感のあるシーンへの突入はないんですね?

話し手が数ページで変わるからかな?
女将に、遣り手婆に、幇間に、芸者に、女衒に、etc.
証言する人が多いからかもしれませんね。
…でも、せめてあんたら、もう少し口調を変えようよ;
いや、変わってるのは分かるけど、あんまり効果ないですよ。
それぞれの性格付けが甘いのかなあ…。

この調子で、延々と証言が続いていくと。

正直なところ、眠くなりますね。

言っちゃあなんですが、単調

いいえ、面白くないなんてことはないんです。
面白いんです。面白いんですよ。

吉原の「手引書」としては、文句のない出来です。
楽しみながら、吉原という場所について知ることができます。
まあ、苦界について深く掘り下げているわけでも、独特の視点があるわけでも、ネットで調べられる以上の知識にあふれているわけでも、現実味があるわけでもありませんが、「入門書」としてはいい感じです。
それこそを書きたかったのだとしたら、八割方は成功していると言っていいでしょう。
単調で説明くさい文章になっているのは、そのせいかもしれません。
と、考えると、「説明書」としては無駄な部分の少ない良い本です。

ミステリィとしては…。高く評価することは難しい。
ありがちな設定。
ありがちな展開。
ありがちなトリック。
ありがちなキャラ。
ありがちなオチ。
どんでん返しも何もなく、淡々と進んで、淡々と収束。

おいおい、それで終わりかい;
間違ってはいないけど、間違ってはいないんだけど;
…ここまで王道を突っ走っていると逆に珍しいかも?

気になったら読んでみてください。ふつうに面白いですv


吉原手引草吉原手引草
(2007/03)
松井 今朝子

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